映画を原作としたゲームが往々にしてクソゲー傾向になるのは衆知の事実だが、この呪いはゲームを原作とした映画にも当てはまるのだろうか?
デジタルからセルロイドへの道沿いには過ちの残骸が数多く転がっているが、時々、といってもごくごく時々だが、ゲームを原作とした傑作映画がやってきて度肝を抜かれる(、あるいは、そこまでいかなかったとしても、抗議行動として自ら目の玉をくり抜きたくなる衝動を打ち消してくれる)ことがある。このレアな妖怪たちへの讃歌として、史上最高のゲーム原作映画をいくつか振り返ってみ(た挙句、史上最低へと話を移してみ)ようと思う。
史上最高のゲーム原作映画
「鉄拳 ブラッド・ベンジェンス」
2010年の寄せ集め実写映画は不発だったかもしれないが、相変わらず大人気な格闘ゲームシリーズを原作とした、こちらのフルCG長編映画の荒唐無稽なエンターテインメントにノせられちゃわないのは至難の業なはずだ。(「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」 や 「カウボーイビバップ」 などの傑作アニメの脚本で知られる)佐藤大の脚本で、シリーズ作品に登場するヘンテコ寄りの要素をいくつか盛り込んだ 「鉄拳 ブラッド・ベンジェンス」 は見応えあるアクションシーン満載で、セクシーなアンドロイドとかわいいパンダが出てきて、イカレの中に冴えを見せつけるアニメーション作品となっている。映画にこれ以上何を望むと言うのか。
「サイレントヒル」
プレイする者を容赦なくビビりまくらせるのが身上のホラーゲームシリーズを原作とする 「サイレントヒル」 は、ホラーとしても漏らしちゃうくらいに怖く、ゲーム原作映画としても全面的に成功した輝かしくもねじれきった物語だ。クリストフ・ガンズ監督はこの家庭用名作シリーズの中から選りすぐりのホラーな瞬間を見事に再現して緊迫感を急上昇させる。小さな女の子やその母親がとても悲惨な目にあいがちな題名と同名の死霊の街を描きつつ、スプラッター要素も大盤振る舞いときたもんだ。
「ファイナルファンタジー」
原作とされている大人気RPGシリーズとはほとんど似ても似つかないものの、この革新的なフルCG映画は現在の映画界隈で標準的な制作技術となっているものの多くの草分けとなった、目を見張る迫力の作品である。公開時は興行収入がヒサンなことになったものの、その後、豪華な声優陣、摩訶不思議なストーリー、そして(しつこいようだが)豪華絢爛なアニメーションのおかげでカルト的な人気を得るに至っている。
「モータル・コンバット」
腹に響くテクノ系の劇伴、切れ味のいい殺陣、原作に対するリスペクト、ヘンテコな白髪のウィッグをかぶったクリストファー・ランバート… 「モータル・コンバット」は愛すべき要素が満載だ。予算かけすぎのマンネリ映画を連発するようになる前のポール・W・S・アンダーソン監督がとてもいい仕事をしてみせ、意外なほど批評家筋の賞賛を集め、莫大な興行収入をあげた。それ以後、シリーズ作品と称した駄作が何本も出て初代の衝撃は薄められてしまったものの、今見ればいまだに見応えがあるのに驚かされるだろう。
「バイオハザードIII」
映画1作目の 「バイオハザード」 は原作のゾンビ退治ゲームのおどろおどろした魅力を再現する一歩手前まで迫りながらも、(再び登場の)ポール・W・S・アンダーソン監督のステレオタイプキャラと意味不明のストーリー展開への偏愛ゆえに、結局はダメだった。続編の映画2作目 「バイオハザードII アポカリプス」 はさらに出来がひどかったものの、3作目の 「バイオハザードIII」 では映画 「ハイランダー」 シリーズのラッセル・マルケイ監督がシリーズを映画 「マッドマックス」 の領域へと移して、なかなかけっこうよさげなものが出来上がったのだった。そりゃあ、前2作と同様にお約束のオンパレードではあったものの、いくつかの冴えたアクションシーン、ミラ・ジョヴォヴィッチの安心できる主役ぶり、そしてゾンビガラスの大群により、ちょっとした傑作なのだ。あいにくシリーズはそこで頭打ちで、「バイオハザードIV アフターライフ」 はショッキングなくらい駄作だった。
史上最低のゲーム原作映画
「ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー」
ジャン=クロード・ヴァン・ダムとカイリー・ミノーグ主演の救いようのないダメポ映画版 「ストリートファイター」 もかなり叩かれていたが、「ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー」 をA級戦犯たらしめているのは過去の教訓から学ぼうとしなかった点だ。1994年の映画1作目があれだけ技術的に冴えなくて、話もしょぼくて、俳優の演技もひどかったにもかかわらず、2009年のこのスピンオフ作品はまるで同じ轍を踏みつつ、主人公である中国人の春麗役に白人のカナダ人女優を当ててライト人種差別的テイストまで盛り込むなど、とにかく最悪だった。
「モータル・コンバット2」
映画版 「モータル・コンバット」 がウケた理由を全部並べて、一貫性、演技力、そしてまともなアクションを一掃すれば、1997年の 「モータル・コンバット2」 の出来上がりだ。そこまでは成功を収めていたシリーズの背骨を引きずり出してフェイタリティをキメてしまったこの映画、原題は 「Mortal Kombat: Annihilation」 なのだが、Annihilation の意味どおりに出来が壊滅的だった点だけは評価したい。
「ウィング・コマンダー」
フレディ・プリンゼ・ジュニアとマシュー・リラードがキャリアの急降下開始地点を指し示してくれたとしたら、おそらくはこの恥ずべき1本(もしくは映画 「スクービー・ドゥー」)の名が挙がることだろう。原作である宇宙戦闘機シミュレーションの中の人が調子に乗って監督も務めてしまったこの作品(映画撮るなんてカンタンだろ、ってか?)、あらゆる意味でオワってる。「過剰な自信」 を意味する 「hubris」 という単語を調べたらクリス・ロバーツ監督様の写真が出てくるくらいだ。おそらく。
「スーパーマリオ 魔界帝国の女神」
任天堂の大人気キャラであるヒゲのおっさんにはほとんど似ちゃいないうえに、意味をなそうとすらしていないこの予算食いの七面鳥映画は、ゲーム原作の駄作映画のテンプレを定義したといっていいシロモノだった。主演のボブ・ホスキンス、ジョン・レグイザモそしてデニス・ホッパーはいずれも後にこの作品がゴミ映画だったことを認めていて、ぶっちゃけその通りだった。最近になってこの1本にもそこそこのカルト的人気が出てきているようだが、ガチマゾの映画ファンがどこかにいるのだろう。
「ハウス・オブ・ザ・デッド」 「アローン・イン・ザ・ダーク」 「アローン・イン・ザ・ダークII」 「ブラッドレイン」 「ブラッドレインII」 「ブラッドレイン 血塗られた第三帝国」 「デス・リベンジ」 「G.I.フォース」
ゲーム原作クソ映画の紛うことなき帝王といえば、ドイツ人映画監督のウーヴェ・ボルしかありえない。この人、どうしてかそこそこの予算(「G.I.フォース」 みたいなヒドいのに3千万ドルも集めてみせた)とキャスティング(ジェイソン・ステイサム、クリスチャン・スレーター、ロン・パールマン、バート・レイノルズ、ベン・ギングズレーを含む)をとりつけつつも、劇場公開されずに即DVD行きのクソ映画を次から次へと安定供給してみせるのだ。しかもこの監督さん、困ったことに、ゲーム系じゃない映画だと見どころを見せちゃったりもするんだが、ゲーム機の名に恥を塗るような駄作を出し続ける限りは、彼の作品をまとめて避けといたほうが賢明だ。
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