10/3 日本GP終了直後 青山博一コメント
開幕から今までのベストの順位が10位なので、この怪我の状況とかチームの状況とかを考えれば、今まで以上の内容の濃い、今まで以上のレースができたと思うのでそういう点では良かったです。母国レースだけに表彰台に乗るとか、優勝するとかしたかったですけど、今現状おかれている状況の中でベスト尽くせたと思うので、次のステップは来年にとって置いて、来年の目標にしたいです。
怪我に関しては、今回の日本GPは最初から最後までいい感じで走れたので、怪我の状況も毎レース良くなっていると思います。決してかばう気じゃないですけど、体の調子もレースやるごとに良くなっているし、僕の感触、マシンの信頼性、チームへの信頼というか自分への自身といったところも早くリカバーして今年の残り4戦、来年につながるようにプッシュしていきたいですね。
インタビュー
Q.昨シーズン、突然KTMの250ccクラスからの撤退発表があり、チームが決まらないままシーズンを終えるという事態がありました。スコットレーシングからの参戦が決まるまでは大変でしたね。
「シーズン終盤での決定だったため、ライバルチームの主要シートは埋まっていて、12月になっても何も決まらない状態でした。その間、スーパーバイクなど他カテゴリーのオファーはあったのですが、僕自身、MotoGPを目指して250ccを戦ってきたので、なんとか250cc参戦を継続するために動いて、本当に開幕が近づいた段階でスコットレーシングのオファーを受けることができました」
Q.これまでは資金と人材が豊富なワークスチームで戦いでしたが、今年はプライベーターでの戦いです。それにも関わらず、過去最高に近い結果を残していますが、いったいどういう状況なのでしょう?
「まず僕が以前いたKTMは、たしかにシーズンを通じて開発は継続されるというワークスならではの力強さがありました。しかしその一方で、開発中のパーツがあると、必然的にそれを試すことになり、選択肢が増えることで迷いが生じることがありました。一方、今年僕が乗っているマシンは、今後開発予定などない型落ちマシンです。戦闘力はワークスマシンとは勝負になりません。しかし、信頼性は高くて、マシンの方向性はシーズンを通じてハッキリしている。あとはセッティングで最大のポテンシャルを引き出すだけです。レースでも予期できないトラブルは少ないので、とにかくセッティングに集中できるという強みがあります」
Q.そうしたセッティングが生きて、今シーズンは3勝を挙げています。3勝目のイギリスGPでは、雨のレースを完全支配したように見えました。実際ところはどうでしたか?
「あの日は最初こそウエットレースでしたが、途中から路面が乾き出して、つぎつぎとドライタイヤへとライバルたちが履き替えるなか、僕とバウティスタはウエットタイヤのままレースを継続しました。タイヤはみるみる痛んでいき、溝の部分からブロック状にタイヤが剥がれるほどでした。ただ、バウティスタとの差を最終ラップで3秒以上確保できれば問題ないと思っていたので、自分のペースを守りレースに勝つことができました」
Q.ウエットレースのイギリスGPでは転倒も多かったようですが、ライダーはクラッシュ時に身を守るものがありません。走っているときに恐怖心などは感じないのでしょうか?
「セッティングが決まっていないマシンで走るときは恐怖心があります。というのも、自分が予想もしない挙動で転ぶ可能性があるにも関わらず、レースでは攻め続けなくてはいけないので転倒するリスクが高まるからです。一方、今年のマシンのようにセッティングが決まると、完全にコントロールできているので恐怖心はありません。ただ、転倒時の受身に関しては話が別です。恐怖は転ぶ前までの話で、転んだあとは慣れの問題ですね(笑)」
Q.F1やレッドブル・エアレースでは、コーナリング中や旋回中にGが加わり、息をしないで操作をすることがあるようですが、2輪でも同じようなことはあるのでしょうか?
「バイクってF1マシンなどと違ってタイヤの設置面積が圧倒的に少ないですよね。さらにコーナリング中はバイクを傾けてコーナリングフォースを生み出しているので、じつはGフォースはあまり発生していません。なので、コーナリング中もライダーは普通に息をしています」
Q.今シーズン、自身でも驚くようなレースに関する出来事はありましたか?
「開幕戦のカタールGPは驚きの連続でした。まず、ナイトレースということで、昼間寝て、夜起きるという感覚に慣れなかったことと、雨の機会が少ないカタールなのに豪雨に見舞われたんです。また砂漠の雨というのが厄介で、雨に砂が少し含まれているため、コースが乾き出すと、砂がコースに浮いてしまって、ウエット路面以上に滑りやすい条件になっていました。あれは驚きましたね」
Q.昨シーズンでKTMは250ccからは撤退しましたが、青山さんとレッドブルのアスリート契約は継続しています。アスリートから見たレッドブルの存在はどのように映っているのでしょうか。
「レッドブルのサポートは本当にありがたいです。250ccからKTMは撤退しましたが、レッドブル自体はMoto全体に残っているので、エナジーステーションがパドックにあり、僕もそこを利用させてもらっています。こうした施設が利用できるだけでも助かるし、僕の事をアスリートとして継続してサポートしてくれていることには、本当に感謝しています。あと、レッドブルのロゴがついたグッズは非売品なので、たまに“それはどこで手に入れたんだ”なんて聞かれると、レッドブルがメジャーになっていることを実感します」
Q.レッドブルではアスリート同士の交流があるそうですね。青山さんはF1ドライバーのセバスチャン・ベッテル選手と仲が良いと聞きました。
「昨年のF1日本GP前のレッドブル外苑グランプリというイベントで初めて会い、意気投合したのですが、今年、F1のスペインGPに招待してもらいました。日本人では、エアレースに参戦している室屋(義秀)さんと何度か話をしたことがあります。同じ、日本人同士、お互い頑張ろうと」
Q.日本人といえば、Moto全体には同じライダーや数多くの日本人関係者がいます。そうした人たちからの応援はありますか?
「ライダー同士に応援の言葉はありませんが、健闘を願う気持ちは伝わります。それより、ホンダはもちろん、ヤマハやスズキ、そしてブリヂストンと、日本人のサーキット関係者からは、いつも応援の声をいただいています。あと、KTMも125ccクラスは参戦を継続していて、スタッフは一緒ですから、彼らも僕のことを応援してくれています。チームが違うのに応援してくれることは本当に嬉しいです」
Q.さて、現在ランキングトップです。250ccクラスは今年で最後ですから、なんとしてもチャンピオンを獲得してほしいところですが、残りシーズンの意気込みを教えてください。
「250ccクラスはパワーがあるのに軽量で、本当にレースのために生まれてきた生粋のレーシングマシンという印象があります。そんなクラスがなくなることは本当に残念で、なんとかその最後の王者を獲得したいと思っているのですが、当然ライバルも全員同じことを思っています(笑)。最大のライバルはアプリリアのバウティスタですね。彼とのポイント差は15ポイントありますが、マシン差を考えるとイーブンだと思います。守りに入っては駄目なので、1レース1レース、勝つための走りをするつもりです」
Q.最後にファンへ一言お願いします。
「今年は、去年のチーム消滅という最悪の状況からスタートして、今はチャンピオンを争うという想像もできない展開になっています。でも、僕が頑張れるのはファンの皆さんの応援があるからだと思っています。これからも引き続き青山博一に変わらぬ応援をお願いします」